大熊ワタル気まぐれ日記:2006-01-10


2006年01月10日(火)デレク・ベイリー追悼

 思えば、初めて参加したバンド「絶対零度」の悪友から、あなたの話を聞かされ、その演奏(レコード)を聴く前から、これこそ自分の求めていたものと確信した19歳の日々が、その後の自分の原点のひとつといえるかもしれません。
 MMD計画で初めて目の当たりにした、あなたの演奏ぶりはたしかに徹底的に自発的で非妥協的なものでした。無駄なく、そぎおとされたような潔い音。かと思えば、演奏途中で急に楽屋に引っ込むやいなや、椅子を次々にステージに投げ込みだす。当時すでにいいおじさんだったデレクですが、あのやんちゃな暴れん坊ぶりが今でも忘れられません。
 そしてそれから約10年後、白州のカンパニー・ジャパンであなたと共演できたことは、忘れ得ない思い出です。もっと間近で聴くことのできた、そのサウンドは何とクリアでつよい音だったでしょう。年もとり、病気がち。そんな事情は演奏には全く無縁でしたね。一見ランダムな演奏のスタイルは一貫していたと思いますが、そのサウンドは一音一音、つねに光り輝いていました。反復のないスタイルで、ひとつの無駄な音もない。それは本当に驚異でした。
 最近は、一音一音、どれだけ気持ちよく音が出せるか、ということを意識するようにしていますが、不思議にしょっちゅうデレクのことを思い出していたのです。これからもそうだと思います。
 本当にありがとう。そしてお疲れさまでした。

[link:21] 2006年01月12日(木) 07:55